2021/05/29 00:31

こんばんは。

洋酒専門店 Liquor Tの 高寺 です。

先日、贈答用のラッピング・紙袋・2本箱・包装をショップに載せると言った後、
完了についてお知らせしておりませんでしたが、すでにBASE様でのアップ済みとなっております。

・包装・ラッピング・・・商品購入の際のオプションとなります。画像の包装・ラッピングの画像を参考イメージとしてください。
・紙袋・2本贈答用箱・・・こちらは別途購入手続きをお願いいたします。ラッピング+紙袋、2本箱+包装など組み合わせもできますので、個別にお問い合わせいただけましたら詳しくお伝えしてまいります。

では本日表題の件になります。

ウイスキー製造に必要な原料は以下の3つとなります。
①大麦(もしくは別の穀類、いわゆるグレーン)②酵母③水
これらが次の7つの工程を経てウイスキーとなっていきます。
この各工程を熟練の職人たちが蒸留所独自の技で寸分たがわずこなしていくことでウイスキーの品質が決まっていきます。
今回は一番最初の工程、モルティングについて解説していきます。

①モルティング(製麦)
 収穫した大麦を浸麦(水に浸す)から発芽させ乾燥していくまでのいわゆる麦芽(モルト)を作るウイスキー造りで一番初めの工程のことです。
 ただし、この作業を蒸留所で自ら行うところは少なくなり、実際にはモルトスター(麦芽製造業者)に委託して造られることが多くなっております。

 この工程の目的は上記の通り大麦を発芽させ、麦芽とすることです。

収穫した大麦の含水率は16~20%ほどで、これをさらに水分が13%以下になるまで乾燥させます(乾燥)。

品種によりますが通常大麦は収穫してすぐには発芽しないので2~3ヶ月休眠期間をおきます(保管)。

粒の大きさによって2~3段階により分け、大きさを均等にします。この際、発芽性能や寄生虫テストも行います(選粒)。

大麦を水に浸したのち空気にさらします。粒底部分に幼根が出るまで30~60時間これを繰り返します。ここで大事な仕込み水(プロセスウォーター)に浸します。
これはその土地で湧き出たミネラルたっぷりの水を使われることが多く、ここでその土地(水)の風味が注入されます。

低温多湿の部屋の床に大麦を敷き詰め、攪拌し空気を与えながら5~7日程度おいて発芽させます。
この作業では、麦の上下の温度差をなくす事と根っこがからまないようにする意味も含まれています。2/3程度芽を伸ばして乾燥作業へいきます。

乾燥は大麦の芽の成長を止めさせる為で、発芽した麦は乾燥塔に移動し熱を加えます。
この際の燻煙がウィスキーの香りとなります。
ここで乾燥に使う燃料の燻煙を吸収し複雑で様々な香りがここで添加されます。
これがウィスキーの持ち味となります。香り付けを行うとても重要な工程です。

最後に再度水分を吸収しないように大麦の根を取り除きます(除根)。

現代では伝統製法よりも気改正法が一般的となり、効率性と経済的な理由でモルティングを自ら行う蒸留所はほとんど無くなってきています。
現在も自らフロアモルティングを行っている蒸留所は①ハイランドパーク②スプリングバンク③ボウモア④バルヴェニー⑤ラフロイグ⑥キルホーマン⓻ベンリアックの7か所となっております。

ここで一つこぼれ話を。
現在、「モンキーショルダー」というブレンデッドモルト(複数の蒸溜所のモルト原酒を混ぜ合わせたウイスキーのこと)ウイスキーがあります。これは単に可愛い猿をモチーフにしているだけでなくウイスキー製造に関する歴史ある昔話からの引用です。
かつてスコットランドのフィディック川の畔にあるダフタウン村は「世界のウイスキー首都」を自負していました。当時この村には9つの蒸留所があり高名なウイスキー製造の村でした(このうち6件は現在も健在)。
この村では一部の村民を苦しめたモンキーショルダーという奇妙な病が流行りました。これは関節症の一種で、蒸留所の風が通る場所で麦芽を何度もすき返すという力作業を続けていた人たちを襲った症状でした。
『肩に猿が乗っているような重み』
『長年フロアモルティングを続ける事で肩が前に迫り出し猿のような姿勢になる』
など言われがあり職人達に敬意を表して名付けられた誇り高き職人の証です。

話を戻して。
このモルティングで造られた大麦麦芽は粉砕され、グリストと呼ばれる粉末状となりその後蒸留所へと送られ第2工程へと進みます。

以上がウイスキー製造の7つの工程の1つ、モルティングとなります。

如何でしたでしょうか?
このモルティングだけでも単純工程で1~2週間が最短期間となります。
実際に樽貯蔵を始めるまでですさまじい期間と労働が発生していますね。

これだけの情熱を注がれたお酒が人々を魅了して現在もその輝きを失わない。
そう考えるとさらにウイスキーの虜となってしまいますね。

それでは本日はここまでとさせていただきます。

当店は父の日のご注文も早期承り中です。
皆様のご来店、心よりお待ち申し上げております。

それではおやすみなさい。