2021/05/14 16:34

こんにちは。

洋酒専門店 Liquor Tの 高寺 です。

今回は久々の雑談回となります。

4月に樽の材木であるオークについてブログ発信させていただきましたが、
今回はその造られ、ウイスキーを貯蔵・輸送するための樽のサイズについてご紹介させていただきます。

樽のサイズもウイスキーの出来上がりに大きく影響を与えます。
当たり前に考えて、小さいサイズの樽のほうが内部で触れ合う液面がウイスキーの総量に対して割合が大きく、
熟成が進む度合いが高くなります。
逆に大きい樽の特徴はゆっくりと熟成が進むため、長期熟成をさせるのに向いていると言えます。

しかしながら、昨今のウイスキーの原酒が不足していることから、
ノンエイジ(熟成年数記載なし)の商品で新たにラインナップを変更している蒸留所も多く、
小さい樽で早期に熟成度合いを高めている商品が多くなってきていることから
小さい樽でウイスキーを造るスタイルが流行となっているようです。
以下、伝統的、歴史的に使われていた樽から現代まで使われている樽のサイズのイラストとなります。
【引用】・・・https://www.drinkingcup.net/understanding-maturation-part-1-know-your-casks/
①ファーキン・・・約40L前後、名前の由来はオランダ語の「4分の1」から。ブリティッシュバレル(後述)の4分の1のサイズとなります。蒸留所で使われる樽の中では最も小さく、かつてはビール・魚・石鹸などの輸送用として使われていました。

②クォーターカスク・・・約50L前後、こちらはアメリカン・スタンダード・バレル(A.S.B)(後述)の4分の1(クォーター)より名付けられています。A.S.Bと比べ液面が樽に触れる比率が高く、一部のスコッチやアメリカンウイスキーのリッチオーク仕上げに使われています。

③ランドレット・・・約70L~80L、ブリティッシュバレルの半分のサイズで、主にワインの輸送用に使われています。

④ティアス・・・約160L前後、現代のドラム缶とパイプの3分の1の容量に最も近いサイズです伝統的に、ワイン・成熟したラム酒の輸送、または塩漬け品の保管に使用されます。

⑤ブリティッシュバレル・・・約160L~180L、ホッグスヘッド(後述)の約半分伝統的にエールやラガーを保存するために使用されています。

⑥アメリカン・スタンダード・バレル(A.S.B)・・・約180L~200L、アメリカンホワイトオークを材料に造られており、かつてはバーボンを熟成させた後は廃棄されていました。1900年代後半にその価値が見直され、一度バーボンウイスキーやテネシーウイスキー、カナディアンウイスキーなどの熟成に使われたものがウイスキーの香味付けに適していると評価されました。現在ではもっとも多くウイスキーの熟成に用いられています。

⓻ホッグスヘッド(ホグスヘッド)・・・約220L~250L、かつてはA.S.Bを輸出する際、一度樽を解体してから運ばれていました。その後、組みなおすときに側板を数本継ぎ足してウイスキーの接触面積比率を大きくし、長期貯蔵に向くよう変更されたものがホッグスヘッドと呼ばれます。また、数回使用されたA.S.Bのメンテナンスとしてホッグスヘッドへ変えていることもあります。名前の由来は作り直したこの樽の重さが豚1頭の重さと同様であったことから名付けられたようです。

⑧バリック・・・約220L前後(ボルドーでは225L 、ブルゴーニュでは228Lくらいです)、フランスワインやコニャックの熟成に用いられています。樽板をつなぐ帯鉄は金属製のものではなく、木製であることが特徴です。

⑨パンチョン(テルチアン)・・・約480L~520L、テルチアンはラテン語で「3番目」の意味だそうです。近代のラム酒製造業界ではマシンパンチョンと呼ばれる太くて短いタイプのものが好まれて使われていますが、シェリー酒製造業界ではシェリーシェイプパンチョンと呼ばれる伝統的な細く背の高いパンチョンが使用されています。

⑩バット・・・約500L前後、ホッグスヘッドの2倍の大きさからラテン語で「大きな樽」を意味する名前を付けられました。多くはヨーロピアンオークかアメリカンホワイトオークで造られておりシェリー酒の貯蔵・輸送に使われます。その後、ウイスキー製造者へ売り渡され、「シェリーバット」と呼ばれウイスキーの熟成に用いられます。シェリーバットを使ったウイスキーは最近の流行となりつつあり、各メーカーもこのタイプのラインナップを増やしています。

⑪パイプ・・・約650L前後、背の高い樽でありながら、太い棒のあるバットよりもずんぐりして丸みを帯びています。一般的にポートに使用されます。

⑫ドラム・・・約650L前後、ポルトガルのポートワインやマデイラワインの熟成用に使われています。

⑬ゴルダ・・・約700L前後、北米ではウイスキーのヴァッティングに使用されています。元はシェリー酒をスコットランドやアイルランドへ輸送するために造られました。

⑭タン・・・約980L前後、バットの約2倍のサイズで、ホッグスヘッド4つ分に相当します。伝統的にビールの発酵やスピリッツの結婚に使用されます。1トンの液体を表すように設計されています。

以上が主だった樽のサイズとなります。

では、次に1つの樽は何回使用されるのか?ということですが、
これは蒸留所の方針と作りこみたいフレーバーによってことなります。
多くは3回~5回までの使用となっていることが多いです。

◇ファーストフィルとは
ウイスキーを初めて詰める樽のことを「ファーストフィル」と言います。
ファーストフィル、とは樽が新品という意味ではありません。
以前にバーボンやシェリーなどを熟成させていた空き樽にウイスキーを詰めることを指します。
ファーストフィルでは樽材の香味成分の影響が最も強く出ます。
ウイスキーの樽詰めが2回目の時は「セカンドフィル」、3回目の時は「サードフィル」と言われますが、
一般的には複数回使用されたとのことで「リフィル」とまとめて呼ばれます。

樽を3回~5回使用、と書きましたが貯蔵年数でいうと50年を超えてきます。
そのためには適宜、修繕を行いながら使用する必要があります。
◇メンテナンス方法
①古くなった樽を修復する。
②傷んだ側板を交換する。
③側板を数本継ぎ足してアメリカンスタンダードバレルをホッグスヘッドへと変化させる。

以上、樽のサイズに関しての雑談となりました。

こういった樽を知ることで、
実は自分はこんな樽を使っているウイスキーばかり選んでいたんだな。
など新しい側面の発見にもなるかと思います。

それでは今回の雑談はここまでです。

何か話題にできるネタなどありましたらこっそり私に教えてください。
助かります(笑)

当店は皆様のご来店、心よりお待ち申し上げております。